鼠径(そけい)ヘルニアは手術するべき?
2016年 04月 23日
先日、施術中にこんなお話がでました。
「お医者さんに鼠径(そけい)ヘルニアと言われて…、大腸検査の時にカメラが入りにくくて大変だったんですって。で、様子を見ようと言われてます。」
と。
そもそも「鼠径ヘルニア」とは何でしょうか。
鼠径ヘルニアとは、本来おなかの中に収まっているはずの腹膜や腸の一部が鼠径部(太もももしくは足のつけの部分)にはみ出した状態。一般的には「脱腸」と言われています。
この鼠径ヘルニアには子どもの頃に起こる「小児鼠径ヘルニア」と大人になってから起こる「成人鼠径ヘルニア」があります。
前者の小児鼠径ヘルニアは先天的な要因も多く手術での対処が行われることが多いです。
後者の成人鼠径ヘルニアは、肥満・激しい運動・便秘によるいきみ・出産・筋肉の衰えなどがきっかけにより起こると言われています。
はじめは鼠径部にプクンとした膨らみを感じ、指で押すと戻り、痛みもともなわないことが多いそうですが、そのうち痛みや不快感を感じはじめ、自然に治ることは無いということです。
飛び出した腸などの組織が壊死(えし)を起こすと大変なので、こちらの場合もやはり手術を進められることが多いようです。
今では患部を切開し飛び出した組織を切り取り、再び飛び出してこないようにネットを当てて縫い合わせる、という技術で随分と体への負担が軽く手術を行えるようになったそうです。
だからこそ安易に手術を言われてしまというのもあるでしょう。けれど、その手術を行う為には必ず体にメスを入れます。
メスを入れ縫い合わせたところが、また新たな癒着をひき起こすので手術はできるだけ避ける方がいい。
・・・とは言っても手術以外自然に治ることはないと言われている、じゃあどうすれば…と疑問は残ります。
上記にあったように鼠径ヘルニアになるきっかけは、「肥満・激しい運動・便秘によるいきみ・出産・筋肉の衰えなど」と一般的に言われていますが、そのきっかけによって起こることは全て"内臓下垂"へと行き着きます。
この内臓下垂が何によってひき起こされるのかは人それぞれですが、多くは胃下垂もしくは胃拡張を起こし、胃が腸に乗っかってくることで胃・腸ともに下垂する。
上から胃にギューと押しやられ、腸同士が癒着を起こす。また骨盤まわりの筋肉と腸も癒着を起こす。
そうなると腸自体の動きが悪くなるので血の巡りも悪くなり浮腫む。
浮腫むことで更に腸はおなかの中でギューギュー詰めになり、おなかに収まりきらずに鼠径部へと飛び出してしまう。
と、いうことはこの内臓下垂そのものを改善しない事には、壊死を起こすのをただ待つことになります。
せっかく再発しにくいと言われているネットでの手術を行っても、他の場所にヘルニアを起こす可能性もあります。
この根本原因である内臓下垂から取り組み、鼠径ヘルニアを改善していこうというのがわごいちの施術です。
まず肋間骨を丹足と手技でしっかりとほぐし、肋骨を緩め広がりやすい状態にします。
骨盤と腸の癒着、胃や腸の癒着をしっかりとほぐして癒着をはがしていきます。
そうしてハート呼吸で胃をもとの位置へと引き上げていきます。
胃の圧迫から解放してあげれば腸のスペースがしっかりとできますから、後はゆっくりゆっくり鼠径部に飛び出した腸をもとの場所へ戻していきます。
ほとんどの成人鼠径ヘルニアは、内臓の下垂が原因でギューギューに詰まったおなかが引き起こしたヘルニアです。
その根本を改善していけば手術をすることなく鼠径ヘルニアは治ります。
ただ、内臓下垂を起こすような日常を送っているとまた元に戻ります。
ただ、内臓下垂を起こすような日常を送っているとまた元に戻ります。
なぜ内臓下垂が起こっているのか一つ一つ原因を見つけ改善し、わごいちでおなかが元気になる習慣を身につけ、日々の暮らし方から変えていくことが大切です。
「手術しかない」と、そうなってしまうまで放置するのではなく、自分からはじめられることはきっとあります。
池田参尽
by wago-ichi
| 2016-04-23 18:45
| 症例・内臓系